■業界の概要
■市場の動向と展望
■教育サービス業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
学習塾・予備校業界は、小・中・高等学校の休み期間である8月・12月が繁忙期で、売上高の季節変動が大きい。
少子化にともない「大学全入時代」を迎えていることから、大学受験分野は受講生の争奪が激化している。年内に合格発表される総合型選抜や学校推薦型選抜の受験生が増加し、一般入試の割合が低下するなど、大学受験を取り巻く環境は大きく変化。各社はその対応を求められている。
一方、近年市場が拡大しているのが中学受験分野。少子化にも関わらず教育費は増加傾向にあり、より良い教育環境に対する需要から、中学受験率は年々高まっている。
いずれにおいても事業者間の競争は激しく、大手企業による中堅・中小企業の買収が活発に行われている。
通信教育はITの発達により、紙教材からオンライン教材へのシフトが進んでいる。児童・学生向け教材にはタブレット型端末の導入が進み、社会人向けには動画による学習講座も一般化した。
「非接触型」のサービスであることからコロナ禍が追い風となる一面もあったが、その収束により減速がみられる分野もある。
一方、デジタルスキルに関する講座はe-ラーニングの相性が良く、リスキリングブームを追い風に成長が期待される。
「習いごとブーム」の1990年代前半から、外国語会話教室は右肩上がりに成長した。しかし平成不況期には、規模の拡大を目指す企業と個別指導など特色ある経営に取り組む企業の二極化が進行し、事業者の淘汰が進んだ。
英会話教室は、NOVA、ジオスといった大手企業の経営破綻で業界の信頼が一時揺らいだ。しかし、小学生の英語授業の早期化やITの進歩をきっかけに、新規参入も増加。コロナ禍ではオンライン授業に特化した事業者や、英会話学習用のスマートフォンアプリなどが台頭し、新たな利用者層を開拓している。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2021年度の学習塾の売上高は前年度比8.7%増の5,536億3,700万円、受講生数は同5.0%増の1,476万9,705人となった。
小学校での英語教育やプログラミング教育の本格化、オンライン授業の定着などにより、売上高・受講生数とも伸長した。
同調査によると、2021年度の外国語会話教室の売上高は前年度比2.6%増の714億2,400万円、受講生数は同8.6%減の450万888人となった。
2020年度のように4~5月期に教室を休止する事態にはならなかったため、売上高は前年度に比べて増えたものの、2019年度のコロナ前水準には届かなかった。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2022年度の学習塾の売上高は、前年同期比0.1%増の5,562億4,300万円、受講生数は同1.3%減の1,456万1,677人となった。