■業界の概要
■市場の動向と展望
■教育サービス業の業績動向
■通信教育・各種学校の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ
教育サービス業界は、幼児から成人までを対象にした教育・学習サービスを提供する企業・団体から成り立つ。具体的には、学校外教育(塾、予備校)、オンライン教育、語学学校、職業訓練、資格取得講座、企業研修などが含まれる。
業界は、戦後の教育改革とともに発展してきた。まず大学進学率の向上とともに予備校や塾が増加し、その後の経済成長と社会の高度化にともない、様々な専門学校や資格取得のための教育サービスが登場した。
近年では、少子化による受験教育市場の成長鈍化と、ITの発達によるオンライン教育市場の拡大により、業界構造は大きく変化しつつある。
学習塾・予備校業界は、小・中・高等学校の休み期間である8月・12月が繁忙期で、売上高の季節変動が大きい。
少子化にともない「大学全入時代」を迎えていることから、大学受験分野は受講生の争奪が激化している。年内に合格発表される総合型選抜や学校推薦型選抜の受験生が増加し、一般入試の割合が低下するなど、大学受験を取り巻く環境は大きく変化。各社はその対応を求められている。
大手予備校では、少子化および現役志向の強まりによる「浪人生(高卒生)」市場の縮小を受け、一部校舎の閉鎖や現役生向けへの転換などの拠点整理が進められている。また、対面授業から映像・オンライン授業へのシフトによる「物理的な教室事業からの実質的撤退」も進んでいる。伝統的な「大規模予備校」というビジネスモデルは転換期を迎え、より機動的な小型教室やハイブリッド型の教育提供への移行が進んでいる。
一方、近年市場が拡大しているのが、中学受験分野である。少子化にも関わらず教育費は増加傾向にあり、より良い教育環境に対する需要から、大都市圏を中心に中学受験率は年々高まっている。そのため大学受験予備校大手も、小中学生向け教育事業の強化に動いている。
いずれにおいても事業者間の競争は激しく、大手企業による中堅・中小企業の買収が活発に行われている。
通信教育は、ITの発達により、紙教材からオンライン教材へのシフトが進んでいる。児童・学生向けの教材にはタブレット型端末の導入が進んでおり、社会人向けには動画による学習講座が一般化している。
インターネットを通じてさまざまな教育コンテンツにアクセスでき、地域や時間に縛られずに柔軟な学習が可能なオンライン講座の充実が、通信教育市場拡大のカギとなる。とくに社会人向けのデジタルスキルに関する講座はオンラインとの相性が良く、リスキリングブームを追い風に成長が期待される。
このような中、オンライン教育の場を提供するプラットフォーマーが台頭している。Udemy(米)やCoursera(米)のような海外の大規模なプラットフォームも日本市場に参入しており、競争が激化している。
1990年代前半から、外国語会話教室は右肩上がりに成長した。
しかし平成不況期には、規模の拡大を目指す企業と個別指導など特色ある経営に取り組む企業の二極化が進行し、事業者の淘汰が進んだ。その後2007年にはノヴァ、2010年にはジオスと大手企業が相次ぎ経営破たんし、業界の信頼が揺らいだ。
しかし、小学生の英語授業の早期化やITの進歩をきっかけに新規参入が増加。オンライン授業に特化した事業者や英会話学習用のスマートフォンアプリも台頭し、再び競争が激化した。さらに最近では、音声対話機能を備えた生成AIを語学学習に活用するなど、学習手段の多様化が加速している。
成熟分野から成長分野への労働力の移動促進、あるいはデジタル競争力の強化などに向けて、社会人の学び直し、いわゆる「リスキリング」が注目されている。
経済産業省は、リスキリングを「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義し、様々な制度や補助金でその推進を支援している。他にも厚生労働省や文部科学省が、支援事業や助成金制度を設けている。
少子高齢化が進む中、学習塾・予備校もリスキリングを軸にビジネススクール部門の強化を図るとみられ、今後の教育サービス市場の拡大を担うと見込まれる。