■業界の概要
■市場の動向と展望
■ソフトウェア受託開発の業績動向
■パッケージソフトウェア開発業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
ソフトウェア受託開発業は、個々の顧客の要望に合わせて情報システムやソフトウェアの開発を行う。システム全体の設計から運用、保守までを一貫して行う業態は「SIer(システム・インテグレーター)」と呼ばれる。
参入企業は設立経緯によって、メーカー系(コンピューターメーカーから派生)・ユーザー系(一般企業のシステム部門から派生)・独立系の3つに大別される。
業界構造は、業務を受注した大手企業(元請け)から一次下請け、二次下請けへと仕事が流れていく、ピラミッド型の多重下請け構造となっている。しかし近年は、コスト削減や開発スピード短縮などを目的に、発注側企業が中小ソフトウェア企業と直接契約するケースも徐々に増え始めている。
パッケージソフトウェア開発業は、不特定多数のユーザー向けの汎用ソフトウェアの開発・販売を行う。会計、生産管理、営業管理、在庫管理など業務ごとの専用ソフトウェアがあるほか、これらを統合し一元管理する、ERP(企業資源統合)ソフトウェアを利用する企業のすそ野も拡大している。
従来は売り切り形式だったソフトウェアの販売方法は、クラウド上でソフトウェア機能を提供するSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)によるサブスクリプション(定額課金)型への移行が進んでいる。
サブスクリプション型のビジネスモデルは、継続して安定的な収益を得られやすい利点がある一方、顧客満足度維持のために早いサイクルでのサービス改善が求められる。
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」において、デジタル化が遅れれば2025年以降に最大で年12兆円の経済損失が発生すると警鐘を鳴らしたことから、世界的に後れを取っていた日本の企業・自治体の情報化が加速した。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を活用した組織の変革を指す。そうした顧客のDXニーズに対応するため、大手企業はソフトウェア・システム開発だけでなく、デジタルを活用した経営戦略や組織改革の支援を行うようになってきている。
そのような中、ソフトウェア業界側、顧客側の双方においてデジタル人材の不足が顕著になっており、DX推進における課題となっている。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、2021年度の情報サービス業の売上高合計は15兆3,159億円(前年度比3.9%増)と、2期ぶりのプラス成長になった。
うち「ソフトウェア開発・プログラム作成」の売上高は、同3.1%増の11兆142億円だった。内訳は「受注ソフトウェア」が9兆279億円(同3.3%増)、「ソフトウェアプロダクツ」が2兆434億円(同2.5%増)だった。
コロナ禍で様々な業務が制限される中、業務プロセスやビジネスモデルの変革を進めるDXを中心に、IT投資需要が活発だった。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、2022年度の情報サービス業の売上高合計は、前年度比5.7%増の16兆2,547億円だった。