■業界の概要
■市場の動向と展望
■固定通信業の業績動向
■移動体通信業の業績動向
■インターネットサービス業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
通信業界は、有線による音声通話やデータ通信を行う「固定通信業」、携帯電話をはじめ無線による通信サービスを行う「移動体通信業」、インターネットへの接続サービスを行う「インターネットサービスプロバイダ(ISP)」などで構成される。
自ら通信回線設備を保有する事業者は「キャリア」と呼ばれる。NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天各グループの固定・移動体通信事業者のほか、業種柄光ファイバー網を持つ電力・鉄道会社のグループ企業、ケーブルテレビ会社などが該当する。
自前の通信回線設備を持たず、キャリアの回線網を借り受けてサービスを提供する通信事業者もある。FVNO(Fixed Virtual Network Operator/仮想固定通信事業者)や、一般に「格安スマホ」などと呼ばれるMVNO(Mobile Virtual Network Operator/仮想移動体通信事業者)が、これに当たる。
ISPは、利用者がキャリアの回線を通じてインターネット接続に接続する際の仲介役であり、必ずしも自前の回線設備を保有しないが、大手にはサービス品質向上のために独自の回線設備を持つ事業者もある。
固定通信は音声通話からデータ通信への需要シフトが続いている。そのため固定電話契約数は減少の一途にあり、各社は光回線によるデータ通信サービスに注力している。
移動体通信事業者はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアに加え、2020年4月より新たに楽天モバイルがサービスを開始。さらに、改正電気通信事業法の施行や政府の携帯電話料金値下げ要請を受けて、事業者間の競争が激化している。それによる通信事業収入の伸び悩みを受け、各社はリテールや金融などの「非通信」事業の拡大を積極的に進めている。
ISPは、固定系ネット接続サービス市場が成熟。そのため大手は、モバイル接続やクラウドサービス、コンテンツ配信、ネットセキュリティ、ネット広告、ネット金融、IoT(モノのインターネット)サービスなど、関連分野へ進出している。
総務省発表の2022年3月末の固定電話(NTT 東西加入電話、直収電話、IP 電話およびCATV 電話の合計)の契約数は、前年同月末比1.8%減の5,188万契約となった。
一方、固定系ブロードバンドサービス(FTTH、DSL、CATVインターネットおよびFWA(※)の合計)の契約数は同2.9%増の4,441万契約と堅調に推移した。
総務省発表の2022年3月末の移動系通信(携帯電話、PHSおよびBWA(※)の合計)の契約数は、前年同月末比4.3%増の2億342万契約となった。
大手3キャリアと楽天モバイルでは、携帯電話料金値下げによる顧客獲得競争が激化した一方、半導体不足などにより一部で5G(第5世代移動通信システム)の基地局開設計画に遅れが出た。
総務省発表の2023年3月末の固定電話(NTT 東西加入電話、直収電話、IP 電話およびCATV 電話の合計)の契約数は、前年同月末比2.1%減の5,080万契約となった。