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旅客輸送業界の動向と展望

(2024/03/27更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■鉄道業の業績動向
■バス業、タクシー・ハイヤー業の業績動向
■旅客輸送業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ


■業界の概要

コロナ禍で大打撃も、各交通機関の旅客数は回復へ

鉄道業は、沿線の整備や価値向上だけでなく、鉄道システムの海外展開などにも取り組む。また近年は、人手不足対策として自動運転や省エネルギー車両の導入が進んでいる。一方で少子高齢化などにより存続か廃線かの岐路に立たされる地方鉄道なども少なくない。

バス業では、バスロケーションシステムやICカード導入といった利便性向上や高速バスの快適性向上などが進んでいる。課題として過疎路線維持や車両老朽化、乗務員不足が挙げられる。

タクシー業は、初乗り運賃の低額化や配車アプリ、乗合利用など利用者の拡大施策が行われているが、顧客の獲得競争が激化している。

航空業は、2000年の航空法改正による規制緩和で国内の航空会社が増加し、LCC(格安航空会社)が誕生。2024年2月には、「LCC」「フルサービスキャリア」に加え、第3ブランドとしてエアージャパンが就航している。一方で、航空機による環境負荷の低減が課題となっており、官民による持続可能な航空燃料(SAF)の導入や航空機材・装備品等への新技術導入などが進んでいる。

各交通機関が連携する新たなモビリティサービスである「MaaS」への取り組みが進むなか、経済産業省による「地域新MaaS創出推進事業」(2023年)では、先進的なMaaS実証を進める地域・事業者として8地域が選定されている。

旅客輸送業界では、コロナ禍での外出自粛により各交通機関は大きな打撃を受けたが、旅客数は回復傾向となっている。


■市場の動向と展望

2021年度の市場動向

新型コロナの影響が続き旅客需要は2019年度の水準に及ばず

国土交通省の発表によると、2021年度の旅客輸送量は、鉄道業が188億933万人(前年度比6.4%増)、バス・タクシー業(東京)がそれぞれ4億7,773万人(同8.0%増)、2億826万人(同15.2%増)、航空業が5,146万人(同48.8%増)となった。

新型コロナの影響を大きく受けた2020年度と比較すると、外出規制の緩和により人流は回復したものの、新型コロナ前の2019年度の水準には及ばなかった。また、ガソリンなどの燃料費の高騰も業界に逆風となった。

ウィズコロナに即した新たなサービス提供も進展

旅客数が伸び悩む中、ウィズコロナに即したサービスを提供した企業もあった。JALやANAは地上での移動でもマイルがたまるサービスを開始。車両を利用してテレワーク向けサービスを提供した鉄道会社もみられた。

2022年度の市場動向

コロナ前には及ばなかったが、社会・経済活動の正常化が進み旅客量は大幅に回復

国土交通省の発表によると、2022年度の旅客輸送量は、鉄道業が210億5,353万人(前年比12.0%増)、バス・タクシー業(東京)は、バスが5億1,174万人(同7.2%増)、タクシーが2億3,800万人(同17.9%増)とそれぞれ増加、なかでも航空業は1億17万人(同94.7%増)と大幅に増加した。

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