■業界の概要
■市場の動向と展望
■ホームセンターの業績動向
■関連法規・団体
■業界天気図
ホームセンターとは、日用品や住宅改修、DIY(Do It Yourself)に必要な資材、園芸用品などを提供する小売店を指す。
ホームセンター業界は、消費者のライフスタイルや需要の変化に対応しながら、各社の出店拡大や取扱商品を増やすことで成長してきた。多種多様な商品を取り揃えるため、売場面積は3000~1万平方メートル程度と大きく、都心部よりも郊外に多く出店している。
日本DIY・ホームセンター協会によると、店舗数は1973年以降ほぼ一貫して増加、2023年度末の店舗数は前年度末より50店舗増え、4,970店舗となった。
近年は市場の成熟化にともない年間総売上高は横ばい傾向で推移。経済産業省の「商業動態統計調査」によると、ホームセンター販売額はコロナ禍での巣ごもり消費を追い風に急増した2020年度の3兆5,211億円をピークに頭打ちとなっており、物価高が個人消費を抑制する中、競争が激化している。
各社は積極的な新規出店や既存店改装などでさらなる拡大を目指してきたものの、近年は店舗数が多すぎるオーバーストア化やディスカウントストアなどの異業種との競合により市場全体の成長が頭打ちとなっていた。
そのため各社は新規出店を抑え、PB商品の開発強化、オンラインでの販売強化、プロ向け事業の強化などで収益の確保を目指し、M&Aを活用した業界再編や新規事業への進出などに焦点をあてる動きが目立っている。
2021年にはニトリホールディングスが島忠を完全子会社化、2022年3月にはカインズが東急ハンズ(現:ハンズ)を完全子会社化した。直近では、DCMホールディングスが、2023年11月に連結子会社化、2024年1月に完全子会社化したケーヨー(千葉県)を同年9月に吸収合併し、全国の「ケーヨーデイツー」の店舗名称を「 DCM 」に置き換える。これにより25年2月期の連結営業収益は5,500億円を超える見通しだ。
またDCMホールディングスは、グループ企業の再編を進めている。 21 年3月には傘下のホームセンター事業会社の5社を統合し、新会社のDCM(東京・品川)を発足。これに合わせDCMホールディングスの持つ商品企画や管理機能をDCMに移管した。商品の企画から販売、さらに人材の募集までを一元的に管理することで、管理費の軽減を図る。
成熟市場であるホームセンター業界では、PB商品の供給を軸とした業務提携が増加するとともに上位寡占が進み、優勝劣敗が鮮明になっていくと予想される。