■業界の概要
■市場の動向と展望
■情報通信機器製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
情報通信機器は、携帯電話・スマートフォンなどの移動体端末機器や、法人向け大型汎用コンピューター、パソコン、ルーター・スイッチ類といった通信ネットワーク機器などの各種機器から構成される。
近年は移動体端末機器が市場をけん引。スマートフォンの急速な普及で通信データ量が増大し、それに対応するためのインフラ需要が増加してきた。しかし、その構築が一段落したことから通信会社の設備投資が抑制され、通信機器市場は停滞している。
しかし、将来的にはIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、AI(人工知能)・ロボットを活用した新技術や新サービスの創出によりデータ量のさらなる増加が見込まれる。これにより、ネットワークインフラ装置を中心に、市場の拡大が期待されている。
国のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進策による下支えも期待される。「デジタル田園都市国家構想」では、構想を支えるデジタル基盤の整備をハード・ソフトの両面から推進していく方針。具体的には、光ファイバーや5G・Beyond 5G、データセンター、海底ケーブルなどの通信インフラ整備が計画されている。
情報通信ネットワーク産業協会「通信機器生産実績」によると、2021年度の通信機器国内生産額は、前年度比4.8%減の3,924億8,000万円となった(伸び率は非公表となった携帯電話分を除いての比較。以下同)。半導体などの部品供給不足が足かせとなり、3年ぶりに減少した。
端末機器は919億6,500万円(同15.2%減)。部品供給不足が続いたほか、コロナ禍による建設工事の停滞でインターホンなどの国内生産が減少した。
ネットワーク関連機器は2,732億6,400万円(同1.8%減)。うち有線ネットワーク関連機器は1,358億1,500万円(同15.7%減)。光ケーブル網の全国配備に向けたインフラ投資の前年度特需の反動減などで減少した。一方で無線ネットワーク関連機器は1,137億9,000万円(同34.7%増)。基地局通信装置が5G基地局の商用機設置や海外輸出で大きく伸長した。
電子情報技術産業協会の「パーソナルコンピュータ国内出荷実績」によると、2021年度の国内パソコン出荷金額は、前年度比22.3%減の6,976億円だった。出荷台数も同30.7%減の716万3,000台だった。前年度にあったコロナ禍によるテレワーク特需やWindows7サポート終了による買い替え需要、GIGAスクール構想特需からの反動減により、金額・台数共に大幅に減少した。
情報通信ネットワーク産業協会「通信機器生産実績」によると、2022年度の通信機器国内生産額は4,191億9,600万円(前年度比0.7%減。伸び率は年度途中で非公表となった陸上移動通信装置分を除いての比較。以下同)。
端末機器は1,219億9,900万円(同1.6%増)だった。うち有線端末機器は439億2,600万円(同12.0%増)と伸長。部品不足が解消したボタン電話や、コロナ禍で延期されていた住宅・オフィス工事の再開を受けたインターホンの生産が回復した。