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宝飾品業界の動向と展望

(2024/12/27更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■宝飾品業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

装飾だけでなく、投資や資産保全の側面も

宝飾品は、主にネックレスや指輪、イヤリング、時計など、装飾を目的として使用される。一般的には、宝石であるダイヤモンド、サファイア、ルビー、真珠などのほか、貴金属である金、銀、プラチナなど希少価値のある素材を使った高価格帯の商品を指す。

宝飾品業界は、宝石や時計、貴金属製品などをデザインするデザイナー、製造業者、卸売業者、小売業者、そして関連サービスを提供する企業から構成される。

また宝飾品は、装飾目的だけでなく、投資や資産保全の側面も持つ。「有事の金」と言われるように世界情勢が不安定ななか、現物資産としての金に注目が集まる。国内最大の地金商である田中貴金属工業によると、2024年10月末の国内金価格は1グラム1万5,162円(店頭小売価格、税込み)となり、過去最高値を更新した。足元では、銀やプラチナなども投資需要が増加している。

国内市場規模はピーク時の3分の1まで縮小

宝飾加工品は山梨県が国内生産量の3分の1を占め、東京都や大阪府などに卸売業者が集中している。国内消費に左右される傾向が強く、バブル崩壊前に3兆円ほどあった市場規模は個人消費低迷の長期化から需要減少が続き、3分の1に縮小している。

また、婚姻件数も2012年以降減少傾向で推移しており、ブライダルジュエリー部門での苦戦が続いている。

宝飾品価格の上昇が続くなか、節約志向により支出額は減少傾向

近年、宝飾品価格の上昇が続いている。

日本銀行が発表している企業物価指数によると、2020年4月を基準値(100)とした場合の2024年4月のジュエリー価格の指数は174.5と、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2022年から急激に上昇している。

素材価格の高騰に伴い、宝飾品店での値上げも広がっている。ミキモトやTASAKI、「4℃」を展開するエフ・ディ・シィ・プロダクツ、スタージュエリーなどの国内企業だけでなく、海外高級ブランドの米ティファニーや仏カルティエなども値上げしている。

一方で、総務省の家計調査によると、ジュエリーを含む身の回り用品の支出額は2023年で2万1,256円だった。コロナ前の2019年(2万3,721円)から2,465円の減少で、コロナ前の水準に戻っておらず、節約志向が高まっていることが窺える。

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