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医療機器業界の動向と展望

(2024/03/29更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■医療機器製造業の業績動向
■医療用品製造業の業績動向
■医療機器卸売の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

治療系機器は外資系が存在感、診断系機器は海外市場開拓に注力

医療機器(医療用品含む)の国内生産金額は5兆5,009億円(2022年、薬事工業生産動態統計調査)。医療機器は内視鏡・CT(コンピューター断層撮影機)・X 線装置などの診断系、カテーテル・透析器・人工関節などの治療系、眼科用品・歯科材料などのその他に大別される。

医療機器産業の世界市場は約5,176億ドル(2023年、約78兆円、医療機器産業ビジョン2024)で、2027年までに約6,453億ドル(99兆円)に成長すると予測され、年平均成長率5.9%での拡大が見込まれている。

日本企業は、軟性内視鏡や超音波診断装置、MRI(磁気共鳴画像)などの診断機器分野に強みを持つ一方で、放射線治療装置や人工呼吸器、人工関節などの治療機器分野では国際競争力が弱いとされる。

国内市場では人工関節やペースメーカーなど治療系機器市場の伸びは大きく、外資メーカーが存在感を示す。診断系機器の国内売上高は横ばいであるため、メーカーは海外市場の開拓に注力する。

大手卸は物流管理システム普及やトータルサポートに注力

医療機器卸は、国の社会保障費抑制政策が進むなか、診療報酬(公定価格)の引き下げ傾向や医療機関のコスト削減要請により、利幅が縮小傾向にある。

国内では、地域密着型の医療機器卸が分散しているが、その中でも大手卸はSPD(院内在庫の医療材料物流管理システム)や医療機関の新設や移転・増改築のトータルサポート、ITソリューション提供など、幅広いサービスにより囲い込みを進めている。競争は激化しており、中堅・中小卸を含めた合従連衡が続いている。


■市場の動向と展望

2021年の市場動向

受診抑制や手術・治療延期が緩和され、国内外で需要が回復

厚生労働省の「薬事工業生産動態統計調査」によると、2021年の医療機器生産金額は、5兆3,454億円だった。内訳は国産が2兆6,043億円(前年比8.4%増)、輸入品が2兆7,412億円(同8.5%増)。

新型コロナの影響による受診抑制や医療機関の手術・治療延期の影響が緩和され、国内外で需要が回復した。特に、先行して社会経済活動が本格的に再開した海外での需要回復が顕著だった。

医療DX目指し、提携活発化

2021年11月にシーメンスヘルスケアが、AIメディカルサービス(東京都豊島区)など3社と提携。同月にオリンパスとコニカミノルタが国内クリニック向けの画像管理ソリューション・クラウドサービスで協業を開始するなど、医療DXの促進を目指した提携が加速した。

2022年の市場動向

医療機器生産金額は、原材料高騰で国産は減、輸入品は増

厚生労働省の「薬事工業生産動態統計調査」によると、2022年の医療機器生産金額は、5兆5,009億円(前年比2.9%増)となった。原材料・部品の供給不足や価格高騰を受け、国産が2兆5,829億円(同0.8%減)にとどまった。中国のロックダウンや半導体などの部品不足が生産スケジュールへ影響したケースも見られた。一方、輸入品は2兆9,180億円(同6.5%増)となった。

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