■業界の概要
■市場の動向と展望
■医療機器製造業の業績動向
■医療用品製造業の業績動向
■医療機器卸売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ
医療機器(医療用品含む)の国内生産金額は5兆9,965億円(2023年、薬事工業生産動態統計調査)。医療機器は内視鏡・CT(コンピューター断層撮影機)・X 線装置などの診断系、カテーテル・透析器・人工関節などの治療系、眼科用品・歯科材料などのその他に大別される。
医療機器産業の世界市場は約5,176億ドル(2023年、約78兆円、医療機器産業ビジョン2024)で、先進国の人口高齢化や慢性疾患の増加などにより2027年までに約6,453億ドル(99兆円)に成長すると予測されており、年平均成長率5.9%での拡大が見込まれている。
日本企業は、軟性内視鏡や超音波診断装置、MRI(磁気共鳴画像)などの診断機器分野に強みを持つ一方で、放射線治療装置や人工呼吸器、人工関節などの治療機器分野では国際競争力が弱いとされる。
国内市場では人工関節やペースメーカーなど治療系機器市場の伸びは大きく、外資メーカーが存在感を示し、輸入超過の状況が続いている。診断系機器の国内売上高は横ばいであるため、メーカーは海外市場の開拓に注力している。
近年は、競争激化や技術革新への対応から、大手メーカー同士の合併・買収が相次ぎ、再編が進んでいる。また、M&Aにより新たな技術や特許、製品ラインを獲得することで競争力強化を図るため、新興企業やスタートアップ企業の買収が増えている。
デジタルヘルスケア市場の拡大にともない、IT企業やヘルステック企業との連携や合併もみられ、医療機器メーカーがデータ解析やモバイルアプリ開発などの分野に進出する動きも見られる。医療機器の分野でもデジタル化やモバイル化が進んでおり、患者のモニタリングやデータ管理がより効率的に行われるようになっている。また、コロナ禍を経てテレヘルスケアの普及により、リモートモニタリングやオンライン診療を支援する機器の需要が増加している。
医療機器卸は、国の社会保障費抑制政策が進むなか、診療報酬(公定価格)の引き下げ傾向や医療機関のコスト削減要請により、利幅が縮小傾向にある。
国内では、地域密着型の医療機器卸が各地域に分散し商圏を有しているが、その中でも大手卸はSPD(院内在庫の医療材料物流管理システム)や医療機関の新設や移転・増改築のトータルサポート、ITソリューション提供など、幅広いサービスにより囲い込みを進めている。競争は激化しており、中堅・中小卸を含めた合従連衡が続いている。