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電力業界の動向と展望

(2024/09/30更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■みなし小売電気事者(旧:一般電気事業者)の業績動向
■その他の電気事業者の業績動向
■関連法規・団体
■業界天気図

■業界の概要

大手独占体制から自由化進む。石炭火力発電継続に国際批判も

電力業界では、電気事業法の規定により大手電力10社による地域独占が長年続いたが、2000年以降の小売自由化、2020年の送配電分離と改革が進んだ。

政府は、エネルギー政策として「2030年度の温室効果ガスを2013年度比46%削減」、「2050年のカーボンニュートラル実現」の目標を掲げ、脱炭素化政策を推進している。そのため、大手各社は太陽光発電や洋上風力発電など、再生可能エネルギー分野での開発案件への参入が続く。

2023年5月には、カーボンプライシング制度や、脱炭素社会に必要な技術開発のための投資支援など推進する「GX推進法」が成立。また、電気事業法など関連する5つの法律をまとめて改正し、原子力の積極活用や再生エネルギー事業の規制強化などを定める「GX脱炭素電源法」も成立した。

他方、2024年4月のG7環境相会合において、CO2排出削減対策のない石炭火力発電を2035年までに段階的に廃止することに合意し、共同声明が発表された。日本は火力発電への依存度が高く発電量の約7割を占める。うち石炭火力は約3割を占めており、今後の日本のエネルギー政策への影響が見込まれる。石炭火力発電を継続する姿勢に対し、脱炭素社会を目指す国際世論の風当たりが強まっている。

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