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石油業界の動向と展望

(2025/10/31更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■石油開発業、石油元売り業、石油精製業の業績動向
■石油製品小売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

国内石油需要は長期的な減少傾向続く、GX推進で事業構造転換へ

石油業界は、石油開発・石油元売り・石油精製・石油製品小売業で構成される。

日本の消費量の大部分は輸入されており、2024年度の原油輸入量1億3,629万キロリットルのうち、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなど中東地域からの輸入が95.9%を占める。中東地域への依存度が高いことから、エネルギーの安定供給確保のため、原油調達先の分散は長年の課題となっている。

国内では、人口減少や輸送機器の燃費性能向上に加えて、エコカーの普及や産業界の燃料転換など、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きの中で、ガソリンをはじめとする石油製品需要は年1~2%台の緩やかな減少が続いている。

今後も長期的な需要減少傾向は避けられず、資本提携や経営統合による再編が進むとみられる。

政府はカーボンニュートラルの実現に向けGX(グリーン・トランスフォーメーション)政策を推進しており、こうした環境下で、各社は脱炭素化に向けて、水素・アンモニア、CCS・CCUS※、再生可能エネルギーなど新規分野への投融資や設備投資を加速し、事業構造への転換を進めている。

※CCS:「Carbon dioxide Capture and Storage」の略、二酸化炭素(CO2)を分離・回収し、地中などに貯留する技術のこと

CCUS:「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略、回収・分離・貯留した二酸化炭素を利用すること

給油所減少でSS過疎地が深刻化、セルフ給油所は増加

資源エネルギー庁によると、国内の給油所(サービスステーション、SS)は2025年3月末時点で2万7,009給油所(前年同月末より405カ所減)。同時点で1,718市町村中、SSが3カ所以下の市町村は計381市町村(前年同月末より9自治体増)にのぼり、「SS過疎地」問題は深刻化している。

一方、石油情報センターによると、セルフ式給油所は2025年3月末時点では1万915所で、前年同月末から86カ所増と増加傾向が続いている。全国のSSのうちセルフ化率は40.4%(前年同月末比0.9ポイント増)で、都道府県別では最もセルフ化率が高いのは神奈川県の58.4%、最も低いのは秋田県の27.1%だった。

2025年2月に策定された「第7次エネルギー計画」においても、SSは平時のみならず災害時の「最後の砦」として、地域を支えるSSネットワークの維持・強化に向けたさらなる取り組みの強化が、喫緊の課題として挙げられている。近年頻発する災害に備えて、地方自治体と各地の石油組合の連携による安定供給確保が求められている。

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