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印刷業界の動向と展望

(2025/03/28更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■印刷業の業績動向
■印刷機械、印刷インキ製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

紙媒体の衰退で市場は縮小傾向

印刷事業は顧客からの注文を受けて印刷物をつくる受注型製造業で、「商業印刷」、「包装印刷」、「出版印刷」、「事務用印刷」、「建装材印刷」などの分野がある。

デジタル化の進展による紙媒体の衰退により、市場は縮小傾向にある。とりわけ「出版印刷」の落ち込みが目立つ。そのような中、商品差別化やブランディングのためのパッケージデザイン向上ニーズ、オンラインショッピングの拡大、食品・医薬品分野における安全性表示の重要性の高まり、環境に配慮した包装資材に対するニーズなどから、包装印刷の需要は増加している。

経済産業省の「生産動態統計調査」によると、印刷製品生産金額は2007年の約4,539億円から2020年には約3,465億円へと、約23%落ち込んだ。2024年には約3,570億円(速報値)に回復したものの、コロナ禍前の2019年の水準には達していない。こうした需要減少の傾向は、印刷機械や印刷インキの市場にも波及しており、業界環境は厳しい

そのような中、業界大手は、デジタルメディアやエレクトロニクス関連などへの事業多角化を進めている。ビッグデータやAIの活用による効果的な印刷物の制作やマーケティング施策、新サービスの開発を推し進めるほか、異業種企業との連携も活発化している。

新たなニーズが再編を加速

デジタル印刷技術の普及により印刷物のカスタマイズや小ロット印刷が容易になり、これらを提供するオンデマンド印刷サービスやオンライン印刷サービスが台頭している。

そうした動きに対応するため、既存の印刷業者にもデジタル技術への投資が求められるが、その対応が困難な中小・零細規模の印刷事業者の再編が進んでおり、廃業・倒産も増加傾向にある。

印刷機械・インキは高付加価値化を進める

環境問題への社会の関心の高まりにより、環境に配慮した印刷方法や再生可能な素材の使用が求められている。また、高速印刷や高精細印刷においては、より高品質なインキが求められている。そうしたニーズに対応するため、印刷機械製造業や印刷インキ製造業は、高付加価値製品の開発に注力する。

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