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紙・パルプ業界の動向と展望

(2025/02/28更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■洋紙、板紙製造業の業績動向
■洋紙代理店、紙卸商の業績動向
■段ボール製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図

■業界の概要

需要構造の変化に対応し、海外進出、新製品開発に活路を見いだす

紙・パルプ業界は、木材を加工したパルプや古紙を原料として、新聞用紙、印刷・情報用紙、衛生用紙、段ボール、包装用紙等、生活必需品となる紙・板紙を製造し供給している。

「典型的な装置産業」であるため、設備投資のための借入金が多く、負債比率や減価償却費が高水準であり、需要が減少すると過剰設備を抱えるリスクがある。また、紙という製品の性質上、差別化が難しく薄利多売のビジネスモデルであるため、価格競争が激化している。

電子媒体に代表されるデジタル化の流れやペーパーレス化、テレワーク普及、さらには人口減少により印刷・情報用紙の需要は減少傾向にあり、市場は縮小している。

そのため、段ボールやティッシュなどの家庭紙に注力するほか、新興国を中心に海外進出を積極的に進めている。さらに、木質バイオマスを活用したバイオプラスチック、再生航空燃料(SAF)、セルロース樹脂など、カーボンニュートラルを見据えた新製品開発などに活路を見いだそうと、研究開発が活発化している。

業界環境が厳しさ増す中、北越コーポレーションと大王製紙が業務提携

業界構造としては、1990年代以降の業界再編により、王子ホールディングスと日本製紙の二強体制が確立している。

王子ホールディングスが、2019年3月に三菱製紙を持分法適用会社化するなど、近年は設備投資の削減などを目的に、提携関係の強化が進んでいる。2024年5月には、上位2社に次ぐ規模の北越コーポレーションと大王製紙が、生産技術や原材料調達、製品物流などにおける業務提携契約を締結した。製紙業界を取り巻く環境が年々厳しさを増す中、業界3位以下においても、統合の動きが進む。

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