■業界の概要
■市場の動向と展望
■洋紙、板紙製造業の業績動向
■洋紙代理店、紙卸商の業績動向
■段ボール製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
紙・パルプ業界は、新聞用紙、印刷・情報用紙、衛生用紙、段ボール、包装用紙等、生活必需品となる紙・板紙を供給している。
「典型的な装置産業」であるため、設備投資のための借入金が多く、負債比率や減価償却費が高水準であり、需要が減少すると過剰設備を抱えるリスクがある。また、紙という性質上、製品の差別化が難しく、製造・販売ともに競争が激化している。
電子媒体の拡大やペーパーレス化、テレワーク普及などで、印刷・情報用紙の需要が減少する一方、ネット通販の拡大などで段ボールの需要が増加し、家庭紙も復調傾向にある。
需要構造が変化する中、各社は海外進出の強化や脱プラスチックの動きを受けた新製品開発などに活路を見いだす。
業界構造としては、2019年3月に三菱製紙を持分法適用会社化した王子ホールディングスと、日本製紙による二強体制が確立している。近年は設備投資の削減などを目的に業務提携が進んでおり、二強を軸とした再編が進む可能性もある。
経済産業省「生産動態統計調査」によると、2021年の紙・板紙の生産量は、前年比4.7%増の2,393万8,971トンと増加したが、コロナ前の2019年の水準には届かなかった。
紙の生産量は、同4.2%増の1,168万971トン。うち、印刷・情報用紙は前年にコロナの影響で減少した反動から同7.4%増の631万4,393トン、包装用紙は工業用品向け需要の回復や宅配需要の好調により同9.5%増の83万976トンと復調したものの、いずれもコロナ前の水準には至らず、紙全体の合計生産量も同様であった。
一方、板紙の生産量は、同5.2%増の1,225万8,000トン。加工食品向け需要の伸びや巣ごもり需要の継続などでコロナ前の2019年を上回った。
経済産業省「生産動態統計調査」によると、2022年の紙・板紙合計の生産量は2,366万1,065トン(前年比1.2%減)だった。