【GX支援機関に聞く】日本商工会議所 インタビュー
~エネルギーコストが上昇する2028年度までに残された期間はあと5年。事業継続のために早期に着手を~
中小企業のCO2排出量は、日本全体の1~2割弱と試算され、2050年までのカーボンニュートラル実現のためには無視できない規模である。企業数では中小企業は国内企業の99.7%を占めており、このラストワンマイルでどこまで減らせるかがポイントとなる。
企業自身の努力はもちろん、自治体や行政、金融機関や商工会議所など各種支援機関との連携がカギになる。
全国515の商工会議所の連合体として、「中小企業」と「地域」の視点で支援を展開する日本商工会議所 産業政策第二部長の大下 英和氏に、取り組みについて聞いた。
2022年8月の日本商工会議所(日商)の調査では、約半数の企業が「特に取り組んでいない」、約2割の企業が「何から始めたらいいかわからない」という結果でした。
中小企業の間ではカーボンニュートラルへの関心や理解がまだ十分ではない状況です。物価高や賃上げ圧力の高まりなど、足元に喫緊の経営課題があるなかで、取り組みが遅れがちなのは事実です。
そのため、我々としてはまず「なぜCO2排出量削減が必要なのか」についての理解を促進することが重要と考えています。
「知る」「測る」「減らす」という三つのステップを推奨しています。
まずCO2排出削減に取り組む必要性を知り、理解していただきます。
その次に自社がどのくらいCO2を排出しているかを測定し把握していただきます。減らすのは三番目のアクションです。
「知る」では、日商のセミナーやシンポジウムなどの情報発信を通じて必要性を訴求しています。「測る」では、CO2排出量の見える化ツールとして「CO2チェックシート」(Excel)を日商サイトで無償提供しています。
最後の「減らす」については、具体的な知識や技術、設備投資が必要なケースもあるため国や自治体の補助制度や専門機関の紹介などを行っています。
2022 年11 月には「中小企業のカーボンニュートラル推進ワーキンググループ」を発足しました。今後、中小企業や地域での推進についての情報や好事例の共有を進め、各地の商工会議所の取り組みを後押ししていきます。
例えば、いわき(福島県)、龍野(兵庫県)、津久見(大分県)など、これまでの活動を通じて脱炭素への取り組みに関心が高い地域や、積極的に取り組んでいる地域の商工会議所に参加いただいています。
また、最大規模の東京商工会議所(東商)でも、同種の委員会が発足しており、その参加企業にも協力いただいています。業種は、製造業からビル管理業、建設業など多岐にわたります。