2020年1月に国内で新型コロナウイルスの感染が確認されてから3年半が経過した。
この間、パチンコホールは、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用、外出自粛要請などにより、休業・時短営業など運営面で打撃を受けてきた。
ピーク時の市場規模は30兆円超とも言われたパチンコ業界だが、射幸性の問題や趣味の多様化による遊技参加人口の減少などから、倒産の増加、廃業・身売りが進み再編が繰り返されてきた。
また、新型コロナウイルス感染拡大時においては営業自粛を余儀なくされ、赤字ホールが大幅に増加した。今後、ポストコロナに向け新台入れ替えに伴う投資も必要となるなか、業界はどのような動きを示すのだろうか。
帝国データバンクでは、企業概要ファイル「COSMOS2」(147 万社収録)の中から、2018 年~2022年において業績が判明している「パチンコホール経営法人」を抽出。法人数や売上高合計、損益について調査・分析した。
2022年のパチンコホール経営法人数は、1508社となった。2021年より185社(10.9%)少なく、2019年の2000社からコロナ禍を経て、3年間で約25%減少した。
2022年の総売上高は11兆3660億円となり、コロナ禍以前より減少傾向にあったが、1年を通してコロナの影響が及んだ2021年は減少幅が急拡大した。
2022年には社数が10%減少する一方で、総売上高は3%減にとどまった。新型コロナの感染が落ち着いたことや、スマートスロットなどの新台リリースで顧客が戻ってきていることが要因と考えられる。顧客の引き留め、拡大を継続できるかが今後のカギとなるだろう。
パチンコホール経営法人の損益状況を分析した結果、黒字法人と赤字法人の割合は下のグラフの通りとなった。
2019年には75.0%の法人が黒字であったが、コロナ禍に突入し損益が大きく悪化。特に1年を通してコロナの影響が及んだ2021年には黒字と赤字の割合が逆転し、約6割の企業で赤字となった。
2022年に入り、黒字法人の割合はやや持ち直したものの、この傾向は赤字法人の多くが廃業に追い込まれたことで割合が改善している可能性もあり、業界全体として収益改善が喫緊の課題だ。
新型コロナウイルスの感染が落ち着きを見せ、人流も急速に回復するなか、パチンコホールの客足も徐々に戻りつつある。しかし、2022年のパチンコホールの倒産件数は34件と前年(16件)から倍増したほか、閉店や廃業が相次ぐパチンコホールだけではなく、「高尾」(名古屋市中川区)の民事再生、「西陣」(東京都千代田区)の廃業など有名メーカーで倒産・廃業が相次ぐなど、厳しい業界環境にあることが浮き彫りとなった。
ホール運営においては以前より「勝ち負け」が明確となっており、スマートパチンコやスマートスロットを筆頭とした新台を導入できないホールにとっては非常に厳しい営業環境といえる。引き続き、従前からの課題である集客および財務体質の改善は取り組むべき大きな柱であり、ポストコロナを迎え、時代に即した対応を素早く行うことが重要となるだろう。