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TDB景気動向調査(2021年4月)の景気DIは、前月比0.3ポイント増の38.3となり3カ月連続で改善した。まん延防止等重点措置の適用や3回目の緊急事態宣言の発出など、経済活動が抑制されたなかでの改善となった。海外経済の回復傾向により輸出が大きく増加したほか、半導体関連の業界が好調。他方、一部地域や業種で休業や営業時間短縮などの人流抑制措置はマイナスの影響となっていた。本レポートでは、全国47都道府県を130の圏域に分割し、2021年4月の圏域別景気DIの動向把握に加え、2020年4月と2019年4月の圏域別景気DIとの比較も行った。

※ 企業が実感する地域の景況感により近づけるため、地域の経済的なつながりや交通網などを考慮し全国47都道府県を130の圏域に分割して、圏域別景気DIを算出

※ 圏域別『建設』の景気DIは、回答社数が5社以上得られた圏域を対象に算出した


1.「県南・天草」の景気DIが52.6となり、130圏域中トップ

TDB景気動向調査(2021年4月)の景気DIは前月比0.3ポイント増の38.3となり、3カ月連続で改善となった。圏域別 にみると前月から130圏域のうち65圏域で改善(2021年3月105圏域)し56圏域が悪化(同23圏域)した。全体で景況感は改善したものの、4割超の圏域で悪化がみられた。

また、景気DIを10ポイント区切りでみると、50台は1圏域(同0圏域)、40台は44圏域(同48圏域)、30台は79圏域(同78圏域)、20台は6圏域(同4圏域)となった。

圏域別の順位は、熊本県八代市などの「県南・天草」が52.6で最も高い。企業からは「2020年7月に大きな豪雨災害が発生し、その復旧工事が本格化してきていることから受注が旺盛となった」(一般電気工事、県南・天草)といった声が聞かれ『建設』がけん引役となっていた。以下、宮崎県都城市などの「都城(みやこのじょう)北諸県(きたもろかた)」(48.3)、埼玉県秩父市などの「秩父」(47.9)、岡山県津山市などの「美作」(47.2)、北海道旭川市などの「道北」(47.1)などが40台後半で上位に並んだ(表1)。

表1
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2.圏域別の景況感、1年前と比較すると持ち直すも、2年前の水準には至っていない

次に、今回結果と、1回目の緊急事態宣言が発出されていた2020年4月および新型コロナウイルスの影響を受けていない2019年4月の圏域別景気DIを比較する(図1)。2019年4月は、インバウンド需要や建設需要が好材料となっていた沖縄県那覇市などの「県南部・宮古・八重山」が64.0、同県沖縄市などの「沖縄中・北部」が63.2となるなど多くの圏域で50以上を記録し、30を下回る圏域はなかった。

図1
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他方、2020年4月は、新型コロナウイルスの感染拡大にともない国民生活および経済活動に大きな影響を受け、一部を除き多くの圏域で景気DIは30を下回っていた。

今回の結果では、『建設』や『製造』などがけん引し、2020年4月と比較すると持ち直しがみられているが、2019年4月の水準には至っていない。特に2019年4月に景気DIが60を超えていた沖縄県の圏域は、「県南部・宮古・八重山」は30.7、「沖縄中・北部」は37.3とそれぞれ30台にとどまっており、企業からも「緊急事態宣言の後、人の動きがとまっており、消費に結びついていない」(清涼飲料製造、沖縄中・北部)といった厳しい意見があがっている。また、依然として30を下回る圏域も複数存在しており、景況感の回復には圏域間でばらつきがみられている。

表2
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3.まとめ

本レポートでは、2021年4月、2020年4月および2019年4月のTDB景気動向調査を用いて、全国を130圏域に分割して圏域別の景気DIを算出し、特徴を捉えた。

2021年4月は、「県南・天草」で52.6を記録するなど半数の圏域で前月から改善がみられたものの、4割超の圏域は悪化となった。

また、2020年4月および2019年4月の圏域別景気DIと比較すると、1年前からは多くの圏域で持ち直しがみられている。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を受けていない2年前の水準までには至っていない。「県南・天草」や「都城北諸県」、「秩父」などで景況感は高まりつつあるが、2年前には60を超えていた沖縄県の圏域は30台で停滞するなど、景況感の回復にはばらつきがみられている。

130の圏域を俯瞰すると景況感の回復には地域差が生じている。引き続き、各圏域の動向について注視する必要があろう。

※ TDB景気DIに関する他のレポートは、下記サイトにて閲覧できます。ぜひご覧ください
TDB景気動向オンライン

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