2016年に注目を集めた中小企業支援策のひとつに、3月にリリースされた「ローカルベンチマーク」がある。経営状態をシンプルに「見える化」できる指標(ツール)として、中小企業と金融機関などの外部機関との対話ツールとして活用が広がりつつある。ローカルベンチマークの策定、活用に中心となって取り組む、経済産業省の福本 拓也氏にその概要と今後の展開を聞いた。
中小企業の経営力や事業性を分析し理解するためのシンプルな経営診断指標(ツール)です。
成長性や持続性を見る6項目の「財務情報(表1)、経営者・事業・関係者・内部管理体制の4つの視点にもとづく「非財務情報」(表2)から構成されています。
経済産業省のサイトから、診断用の入力フォーム(Excel ファイル)をダウンロードし、必要な14項目を入力すると、売上増加率や営業利益率など6項目の財務指標をもとに、各業界の財務分析指標と比較した財務分析診断結果(総合評価点)を得ることができます。また、非財務情報の項目に沿って現状を入力すると、自社の現状、課題、業務フロー、差別化のポイント、商流などを一覧で整理し可視化できる構成です。
目的は大きく2点が挙げられます。
1点目は、地域経済を支える関係者間での対話促進です。地方創生政策の中心には常に「人口減少にどう対応するか」というテーマがあります。地域経済の疲弊は顕著に表れ始めており、今後、地域のコミュニティ維持も困難になっていく可能性が懸念されています。こうしたなかで、全国の中小企業約380万社のなかには、現状の経営はやや厳しいが成長のための資金を投入し経営の基本を立て直せば経営が改善し、地域経済を支える存在に成長できる企業がたくさんあるはずです。政府や自治体の支援策をうまく取り込めば、なおさらその可能性は高まるでしょう。